2008前後




*主に別の文章サイトにて公開したものの再掲載、ゆえに中二病風味




[冬、不在]より

1,はらふそでのうすぎぬあぶる恋の火もくれなゐ

2,燃ゆる腕は君がかたみに大樹抱く足の下にさつくりと霜柱

4,ねぬなはのくるみのからの寝屋をいとひまつの枝のこほりくひてなほ

5,うづむ土千里わかちて一対の音叉となれよ君とわれの骨



[冬、不在2]より

1,なでふ春を待つやふりつむかなしみも川となるらむ恋のうづみ火

3,だうそじんのねたましきかなひとりぬるくさまくらにぞつゆはちるなる

4,なつかしき修羅の道ゆきかたはらに君にしあらば...君にしあらば!

5,逝こうかと君ぞ云ふなる生きましやうと吾かへしてむその修羅の道



[before the dawn]
あらたまの 月も落つべき あかつきに けものかたどる 面とりて ひとに戻らず なほたぎつ するどき爪に あしはらに あしをはらをと すり合ひて 湿らしてなほ くすぶるは 秋のまこもの かりこもの みだるる肌の そぼつ間に 舌もふれなむ をのづから うきにし色に たくひれの 白くそろへる 八つ珠に きっかと噛める 敷き布を 引けばむずがる その指に かき鳴りつべし 吾があばらの火



[プニカ・グラナトゥム]

1,ししくしろ黄泉路を照らすあかき粒を拾ひて口に吸ひにけるかな

2,くちづけは胆まで届かまほしその裡にペルセポネーの果実あれば